
スピルバーグの映画『E.T.』で主人公と指先を合わせるシーンは無いというのは本当か?「トモダチ」というシーンも無いのか?
映画『E.T.』(1982年)はスティーヴン・スピルバーグが監督し、世界中で愛された名作ですが、その中で広く知られている「主人公とE.T.が指先を合わせるシーン」や「E.T.が“トモダチ”と言うシーン」が“実は存在しない”という話、確かに一部でささやかれています。けれどこれは少し複雑で、半分本当で、半分は誤解や記憶違いが混ざっているものです。
まず、「指先を合わせるシーン」ですが、完全に存在しないわけではありません。劇中で、E.T.がエリオットの指に自分の光る指を近づけ、「I’ll be right here(ずっとここにいるよ)」と言う、とても印象的なシーンがあります。このとき、二人の指先は触れるか触れないか、という距離で描かれています。また、E.T.がエリオットを癒やす時にも指先を使います。つまり、“まったく無い”というよりは、「お互いの人差し指をぴったり合わせる」というイメージの構図が実際の映画にはそのままの形ではない、というのが正確です。
では、なぜそのような印象が多くの人の記憶にあるのかというと、それは映画のポスターや宣伝用ビジュアルに原因があります。あの有名な「夜空に浮かぶ指先を合わせる手」のシルエットは、映画本編ではなく、ミケランジェロの『アダムの創造』の構図を引用したポスターアートとして使われたものです。そのビジュアルがあまりに象徴的だったため、「そういうシーンがあった」と錯覚して記憶に刷り込まれてしまった人が多いのです。
次に「トモダチ」という言葉についてですが、E.T.は劇中で“Friend”という言葉は使います。けれど、日本語で「トモダチ」とは言いません。にもかかわらず、「E.T.が“トモダチ…”って言ってたよね?」という記憶が多くの人にあるのは、日本語吹き替え版の影響や、当時のテレビCM、パロディ、コント、あるいはおもちゃや広告展開などで、E.T.が“トモダチ”と口にしていたケースがあったためです。バラエティ番組やCMなどで真似されたことも大きく、たとえば『ものまね王座決定戦』のような番組でモノマネ芸人が「トモダチ…」とやると、それが印象に残り、「映画でもそう言ってた」と勘違いしてしまう人が出てきたわけです。
つまり、「指先を合わせる」「トモダチと言う」という記憶は、映画本編のシーンと、宣伝・二次的イメージ・パロディがミックスされた結果、私たちの記憶に定着した“E.T.像”だと言えるでしょう。それもまた映画の持つ力のひとつで、作品を超えて文化的な記憶として生き続けているということかもしれませんね
スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『E.T. the Extra-Terrestrial』とは?
スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『E.T. the Extra-Terrestrial』(1982年)は、ただのSF映画ではなく、人と人とのつながり、喪失と癒し、そして無垢な友情を描いた、極めてパーソナルで普遍的な作品です。スピルバーグ自身が少年時代に感じた孤独感や、両親の離婚による家庭の断絶体験が、映画の根底に深く流れており、それがただの「宇宙人と少年の友情」という枠を超えて、多くの観客の心に届いた理由でもあります。
特筆すべきは、スピルバーグの演出の細やかさと、ジョン・ウィリアムズの音楽が織りなす映像詩のような美しさ。自転車で空を飛ぶ有名なシーンは、その象徴的なひとつで、子どもたちの想像力が現実を突き抜ける瞬間を、神話のように美しく描いています。E.T.が母船に帰る別れのシーンでは、「I’ll be right here(ずっとここにいるよ)」という言葉と共に、友情が永遠であることが静かに、けれど強く胸に刻まれます。
また、映画の視点は終始「子ども側」に寄り添っていて、大人たちはずっと“腰から下”しか映らないシーンもあるほどです(これは後に「キーズ」の男が登場することで変化しますが)。この手法は、子どもたちの目線から世界を描こうというスピルバーグの徹底したスタンスの現れであり、それが観客にも無垢な気持ちで物語を体験させる効果を生んでいます。
『E.T.』はSF的な設定を持ちつつ、実のところ最も大切なのは宇宙でも未来でもなく、「いまここにある心のつながり」であり、それは国籍や言葉、種をも超えて成立する、というスピルバーグのまなざしが端的に表れた作品です。決して声高にメッセージを叫ぶことはせず、静かに、けれど深く、観る者の心の奥底に訴えてきます。
スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『E.T.』は『スターウォーズ』にも出ています
映画『E.T.』のキャラクターは『スター・ウォーズ』シリーズの中にカメオ出演しています。ただし、ちょっとした“遊び心”としての登場で、本格的な役割があるわけではありません。
その場面は、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)。銀河元老院のシーンにて、議席がズラリと並ぶ中に、E.T.とそっくりなエイリアンが3体、小さな議席で手を振っているのがチラリと映ります。種族名は「アスゴン人(Asogian)」とされ、まさに『E.T.』に登場する種族と見た目も名前もつながっています。これは、『スター・ウォーズ』の生みの親ジョージ・ルーカスとスピルバーグが親友だったことに由来する、お互いへのオマージュなのです。
実は『E.T.』の映画内でも、E.T.がハロウィンの夜に仮装して外を歩くシーンで、ヨーダの仮装を見た途端に「Home(家)」とつぶやく、という場面があります。これは明らかに『スター・ウォーズ』へのウィンクであり、「E.T.の故郷の銀河にはヨーダがいる=同じ宇宙に住んでいる」という小ネタでもあります。
このように、『E.T.』と『スター・ウォーズ』は直接的に物語がつながっているわけではありませんが、遊び心と友情の証として、お互いの作品世界にさりげなく“出没”しているのです。ファンにとってはたまらない小ネタですね。まるで、映画の宇宙の中でも、スピルバーグとルーカスの友情が生きているかのようです。
I drew an illustration inspired by the classic E.T. the Extra-Terrestrial poster. The image of E.T.’s glowing finger reaching out is simple, yet powerful—a symbol of connection and friendship. This artwork is my tribute to the magic and emotion of Spielberg’s timeless film.
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